掛け軸・屏風・衝立・書画の販売修理、神社・仏閣・お茶室・文化財・美術品・仏画・御名号の表装などの依頼は福岡県大川市の表具処 「泰隆堂」まで


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よくある質問
1.掛け軸の保存方
2.手表装と機械違い表装
3.掛け軸の箱は桐箱がいいのか
4.掛け軸の巻き方・開き方
5.掛け軸は床の間に飾らなければならないのか
6.作品との取り合わせ
7.化学糊としょうふ糊
8.表装と裂地
9.紙表具とは
10.表具の修復の時期
11.防虫香


1.掛け軸の保存方法
保存場所は乾燥した所が良いのですが、あまりも乾燥し過ぎた所は避けてください。乾燥しすぎた所に長期間保存いたしますと、星(茶色の斑点)が出てきます。湿気を避ける場合はなるべく高い所に保管してください。平屋でしたらタンス等の上に置いてください。理想は風通しの良い2階のタンス等の上です。また、長期保存の場合は年に1回は虫干しを2・3日することをお勧めします。最後に収蔵する時は必ず晴れた日をお選びください。天気が良くない場合は、晴天の日まで待ちましょう。



2.手表装と機械表装の違い
昔と違いまして今は様々な選択が出来ますので用途によって手表装もしくは機械表装を選ばれる事をお勧めします。展覧会や発表会等の一時的なものでしたら機械表装でも十分だと思います。また、後々残したいものであれば手表装をお勧めしまし、昔の修理物等はやはり手表装を強くお勧めします。

表装は500年以上の歴史がありますが、機械表装はまだ半世紀ぐらいしかありません。しかし、最近はしっかりとした技術者が少なくなり、機械表装よりも粗悪な手表装を見ることもあります。正しい技術やセンスを持つことは必要最低限の条件ですが、一度行った表装は後のケアーまで担当する表具店に依頼しましょう。作品を長く保存する場合は50年に一度の表装替えをお勧めします。


3.掛け軸の箱は桐箱が良いのか
適性度や入荷状況などから考慮すると、やはり桐箱の方をお勧めします。他にも虫が付く事を防ぐ事が出来ます。見た目の良い杉で作られている箱は結構アクが強く、作品を変色させる恐れもあります。ヒノキの箱は油の成分が含んでおり、掛け軸には不向きです。桐でも最近様々な物が流通しています。価格は多少高くはなりますが、柾目の細かく、白くない桐材で作られた物をお勧めします。

防虫香を箱に入れることをお勧めしますが、掛け軸に香りが移ることを嫌がるお客様もいらっしゃいますので、私たち制作側も大変気をつけております。


4,掛け軸の巻き方・開き方
掛け軸はもともと紙と裂によって出来ておりますので、非常に弱いものです。しかし、取り扱いを正しくすることにより、50年から100年と長きにわたって作品を保存することが可能です。巻いたり閉じたりして作品を長期間保存するという方法は掛け軸・屏風独特なものです。

掛け軸の場合、巻く時や開ける時は、軸先(両側に出ている棒状の物)を持ち、必ず中に触れないようにしましょう。巻く時は最後にキュッと音がするまで巻かず、少々軸先が左右に動く程度に軽く巻いてください。

紐を巻く時も必ず巻く下の方に和紙を添えて、その上で決して強く巻かないようにしましょう。また、作業中は周りに水気がないか、障害物がないかと必ず細心の注意を払いましょう。


5.掛け軸は床の間に飾らなければならないのか
掛け軸は書かれている内容(絵・書)により昔から日本家屋の中心に置かれてきましたが、最近は洋式建築が主流ですので、必ず床の間に掛ける必要はありません。最近では洋間にあうような掛け軸のデザインも創作されています。

伝統的な掛け軸ですと床の間以外では浮いてしまう感じもしますが、屏風など壁に広げ、額が飾ってある外国の家を見ましても、十分オリエンタルの感じがします。

表具店に依頼する時、飾る場所や使用する目的等を述べると、それに応じた作品も制作することも出来ます。



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6.作品との取り合わせ
これは技術的なことよりも経験・感覚がものを言いますので、様々なものを見て学習する必要があります。それは表具とはまた違ったジャンルのものも含めてです。私の場合、その作品の意味が分からなくても、ただ見る・聞く・触るにつきます。表具を技術(職人)と芸術の一線をひいてみると、やや技術のほうに寄ります。私にとってこれはありがたいもので、職人の特権である自由と遊び心をもって、芸術的な事を勉強していけます。作品と周りの表装の取り合わせは表具店にとってその店の色となり、かなり重要な要素となります。これで良しという形ができたとしても、自分自身で学んで行かなければなりません。

月の絵が書いてあるものにはそれに合うように、季節感のある絵にはその季節感を取り入れ、書であれば出来るだけその意味を理解してそれに合うようにしましょう。また、お客様の好みも考慮し、その作品が引き立つように、シンプルで上品な仕上がりを心がけてください。



7.化学糊としょうふ糊
化学糊の歴史は半世紀ほどで、それまでの掛け軸は小麦粉を原料とするしょうふ糊が使われていました。糊炊き3年などと言いまして、糊を自分で作るという修行があります。今では化学糊に限らず様々な表具用糊があります。糊は表具にとって命であります。この加減ひとつで掛かり具合や見た目の柔らかさに大きな差が出てきます。経験からすると化学糊の方がかかりがよく、作業もしやすくなります。しかし、まだ歴史が浅いため修理物などには疑問視されます。私はしょうふ糊を一般的に使用しますが、某書道展に出品した掛け軸で私のだけ掛かり具合が悪いと聞き、会場に行きましたら私の作品の前には大きな暖房機があり、その風が掛け軸にあたっていました。用途や場所に応じて糊も使い分けなければなりません。今後の作品は技術面や価格の違いで化学糊を使用した機械表装が主流になってきますが、昔ながらの伝統的な手法で作られた表具は味わい深いものとなります。


8.表装と裂地
掛け軸の形式から様々な裂地があります。基本はやはり金襴や緞子でしょう。元々は衣類やお坊さんの袈裟などから作られていました。色落ちがなく、裂にくせが無く、うすい裂(掛け軸は巻くため)であれば何でもいいでしょう。何か思い出のある衣類や着物などを使用したり、海外などで購入なさった裂地や紙を使用すると、おもしろい作品ができます。


9.紙表具とは
一般的に掛け軸はそれようの裂地を使用して作ることが多いのですが、時々紙(染和紙)を使う事もあります。古い掛け軸を見ますと、よくもみ紙・染紙を使い風帯なども押し風帯(はりつけたもの)になっているものがあります。一般的な傾向として裂表具は上等、紙表具は安物と思われがちですが、紙表装の方が技術的に難しいところが多く、昔の物を見るに上物によく紙表具がされています。お茶をなさる方にも紙表具のシンプルさを好まれるが多いようです。仕事としてはあまり紙表具の依頼はありませんが、個人的には紙表具という物に少し凝っております。




10.表具の修復の時期
表具の修復の時期に関しましては、50年くらいを目安にすると良いかと思います。きちんと仕事がなされたものは、50年程しますと糊が自然とはがれてきまして、品物の方からそろそろ修復してくださいと訴えてきます。本当はそのまえにした方が良いのですが、なかなか目に見えてこないと分からないものです。表具はいったん痛み出しますと、日々悪くなっていきますので残したい大切なものであれば、早目の修復をおすすめします。       

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11.防虫香
掛軸なども衣服と同じで、虫が好みます。それで収める時、箱の中に防虫香を入れたりします。その防虫香も掛軸等に香りが移りますので白檀などを入れたいい香りのする物を使用します。品物のためにはこれは必要なのですが、お客様によっては香りがするのを好まない方もおられますので、入れたほうがよいかどうかは、確かめられたほうがよいと思います。

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