掛け軸・屏風・衝立・書画の販売修理、神社・仏閣・お茶室・文化財・美術品・仏画・御名号の表装などの依頼は福岡県大川市の表具処 「泰隆堂」まで

第1話
旧 伊藤伝右衛門邸・修復

今回、ご縁がありまして、筑豊の炭鉱王と呼ばれていた、伊藤伝右衛門邸(飯塚市幸袋)の修復に携わらせて頂きました。ご存知の方も多いとは思いますが、皇族の出身で大正の代表的歌人であった柳原白蓮は伝右衛門の後妻として、この家に嫁ぎ10年ほど、ここで暮らしています。

建物は正に邸宅と言うにふさわしい物で、外・内 すべて細部まで良い仕事がなされています。外観は和風でございますが、内に入ると当時の流れか、良く使う部屋(食堂・応接間・風呂場)など、洋風になっています。畳の上にテーブルを置いて椅子に座り、着物を着て食事すると言う様な当時の和洋入り混じった感じですね。

今の建築と違うのは、あくまで、和が主でありそこに洋が少し顔を覗かせていると言う物で、今のは、それが、逆転してます。今の私たち日本人から見ても何か不思議な空間に見えますが、本来は、こうだったんだなぁと思わせられます。

さて、建築されて110年ほど経っているのと空き家であったり人手に渡ったりで、かなり弱体化しておりまして、今回の修復と相成りました。私は表具師なので、今回の私の仕事は、絵ふすまの修復を担当しました。

こういったお宅の襖はそれはそれはもうすばらしく、その部屋の役割を表すかのごとくその部屋の為のみつくられています。なんとも贅沢ですね。でもこの贅沢する人がいて良い物が残って行くわけですから、よしですよね。

大座敷は岩絵の具と金の砂子を贅沢に使った、波模様、引き手は舟形引き手、特注! 白蓮さんの部屋は、それに、ふさわしい、やさしい草花の絵が描かれています。廊下側のめんには、伊藤家の紋入り襖、食堂・居間などはリラックス出きる様な、絵が描かれています。そのどれもが、センスよく配置されてます。

白蓮さんのお部屋は、一番日当たりと中からみる庭の景色が、すばらしい所にあり、あの写真で見る伝右衛門のいかつい顔からは想像できない、彼の白蓮に対するやさしい心使いが見えました。私の遠い親戚が伝右衛門と飲み友達だったと聞いていましたので、何か近しい物を感じたしだいです。ともあれ久しぶりに、いい物を見て、触れる事が出来このご縁に感謝!!     
   
   
     
 
 
     
           
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