掛け軸・屏風・衝立・書画の販売修理、神社・仏閣・お茶室・文化財・美術品・仏画・御名号の表装などの依頼は福岡県大川市の表具処 「泰隆堂」まで
第8話 真贋(しんがん)

この前、お客様が数本の古めかしい桐箱を抱えて来店されました。お話を伺ったところ、この掛軸を買って【売ってもらえない】だろうか?と言うことでしたので中を見させて頂きました。

何本かは私が見てもこれは出せないでしょう、程度の品でしたが、中に二幅対の昇降龍の墨絵があり探幽(たんゆう)と名がありました。絵も、お軸も中々の物でしたので一応お預かりしましたが、本物か否かは私ども技術屋には判りかねます。そこでテレビ等でもお馴染みの某古書画店で見て頂く事にしました。

有名な方に成る程、そのニセモノも多く出回っており、むしろ本物を一般世間で見つけ出すのは砂中のダイヤを探すようなものです。ただ最近コレクターの方々がそういった物を手放しておられると云うのも現状でして本物が世間に出回っているようです。

昔からそうやって作品がそれを欲しい方の所を渡り歩き、ある意味守られて来た歴史がありますね。そして、そのちょっとの間、私共の様な仕事をしている者の前を横切って行くと云う様な・・・・  

先日、細川家のコレクションを見てきましたが、これらの作品は(掛軸・屏風・巻物・額に関してのみ)はたして本物なのだろうか?その家に代々伝わっているから本物なのか?何かちゃんとした裏付けがあるのか? 白隠の絵などはマンガの様だし、家康の書状は・・・利休の茶杓は・・・ある程度の技量を持っている人なら書いたり、作ったり出来る様な気もします。

されど本物とニセモノの差は天と地ほどに違い、その間はないのです。私は表具という仕事を通して一般の方より書・画を見たりさわったりする機会が多くありますが、物の真贋の判断は難しい問題です。ただ、仕事としてお受けする時、お客様が大切にされている物、と言う気持ちをちゃんと受け止め、又、理解して作業させて頂く様、心がけなければいけません。       

狩野探幽(かのうたんゆう)江戸前期の画家  通称 (守信) 別号 (白蓮子・探幽斎 等)延宝二年(1674年)没 73歳
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