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第9話 日本画の巨匠たち(名作でたどる日本美術院のあゆみ)

柳川の元料亭の奥さんから連絡いただき、とある絵を見せていただきました。堅山南風(1887−1980)の大作です。絵は白鷺に柳(高さ2200.巾1800)奥さんいわく、絵の上のほうがいたんでるので、そこを切って屏風にしてください。 私・画家の意図を考えますと、少々いたんでましても、絵は切らない方が良いですよ。日本画は余白も大事なので・・・  奥さん・家に飾るには大きすぎるのよね〜。 

絵を前にしてアレコレ話してますと中村さんは松尾敏男って知ってる?と。京都時代から松尾さんの作品は好きだったので、よく意識して見てましたので、知ってますと答えますと、今度、福岡市美術館で日本美術院・日本画の巨匠たちと言う展覧会があり、そのレセプションに招待されてます。私は人前にはあまり出たくないけどあなたが一緒に来てくれて、話してくれるなら行きません? 松尾さんも来ますよ・・・ えっ・・僕・・ 松尾さんは堅山南風に師事していて回りまわって絵の存在を知り、見てみたいと言う事。そう言ういきさつで招待状が来たらしいです。行きます!!僕・・・

日本美術院は岡倉天心(1863文久2年―1913大正2年)が創立し百数十年の歴史がある会です。院展と言うとなじみがあると思いますが、これは日本美術院の院を取ってつけられてます。現在、松尾さんはその理事をされてます。まさに現在日本画壇最高峰の方です。夏特有の大雨と雷の中(奥さん雷が怖いらしく鳴るたびにきゃ〜と言ってられました)緊張しつつ二人で会場の市美術館へ向かいました。到着しますともう始まっていて奥のほうにとても品の良い老人の方が多くの報道陣・テレビ局の方々に囲まれて取材を受けてられました。

私たちが挨拶にいきますと、とても気さくに相手をしてくださり、また、堅山先生の作品写真を興味深げにごらんになりました。色々とアドバイスをして下さり、堅山先生の思い出話など、お忙しい中、けっこうな時間をお付き合いいただきました。私、すごいなと思いましたのは、全然威張った感じではなく、淡々と自然体であられた事です。すごく話しやすかった〜 あ〜こういう方がああいった作品を書くんだな〜 すごいな!! 

堅山作品に関しては、こういった大作は何かしらの展覧会出品作(売るために描いたのでは無い)でしょう。若いころの絵みたいです。やはり切るのはよろしくない等々・・・もし保存したければ、熊本美術館に相談してはどうでしょうか?堅山先生は熊本のご出身ですからなどなど・・・今回出品してる堅山南風先生肖像画もそこに寄付してます。との事。何かあったら私でよければと名刺も先生の方から先にいただきました。感激!! 

今回、思いがけず、松尾敏男先生に会え、お話が出来まして良かったです。雨も上がり薄暗い中、奥さんにお礼をいいつつ共々気持ちよく帰りました。先生、今後ともお元気で創作されることを願いつつ・・・ 松尾敏男・大正15年3月9日長崎市生まれ。平成12年文化功労者を受ける。現日本美術院理事

       
         
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